下水道管の老朽度合や排水不良の原因となるものを発見するために定期的に調査を行う必要があります。全国で約50万㎞にものぼる下水道管を効率的に調査するために様々な調査手法があります。
それぞれ現場状況や予算に応じて使い分けをしていますので、その事例をご紹介します。
①管口カメラ調査
管口カメラ調査とは、人がマンホールの中に入らずに地上から管口テレビカメラを使用して管内状況を調査する手法です。管口テレビカメラは下水道管の管口から数m程度までにとどまるため、詳細調査としては使用されません。しかし、調査に時間がかからずコストも安価であるため詳細調査箇所を絞り込むためのスクリーニングとして活用されています。
②本管TVカメラ調査
本管TVカメラ調査とは、自走式のTVカメラヘッドを下水道管の中に挿入し、管内の破損(クラック)や浸入水の有無、継手・取付管等の接続状況を詳細に調査する手法です。
異常個所などが発見された場合は、カメラヘッドを停止させレンズを側視方向へ向けることで下水道管壁面のクラックを計測するなど細かな異常を判定することができます。
現在最も一般的な詳細調査の手法として用いられています。
③潜行目視調査
潜行目視調査とは、管径800㎜以上で人が安全に下水道管に入ることが可能な場合に人の目で詳細に調査する手法です。調査機材が少なく、事前の管内洗浄を必要としないことからTVカメラ調査と比較して安価に調査することができます。しかし、下水流量が多い場合や硫化水素などの有毒ガスが発生する状況の場合は調査することができないというデメリットもあります。
④取付管TVカメラ調査
取付管TVカメラ調査とは、下水道本管に接続される取付管を小型カメラによって調査する手法です。
取付管の管径は100~200㎜程度で曲がりがあるため小型で曲がりに対応できる取付管TVカメラ調査機を用います。カメラヘッドは自走せず直視映像のみを映し出します。
⑤展開広角カメラ調査
展開広角カメラ調査とは、自走式の広角カメラヘッドを下水道管の中に挿入し、停止することなく広角に下水道管内を連続撮影する調査手法です。通常のTVカメラ調査とは違って現地で異常判定をせずに、撮影した写真データをパソコンで展開図化したのちに異常判定を行うため現地での調査スピードが格段に早くなります。調査画像の画質があがり教師データがたまっていくことで今後AIなどによる自動診断が期待されている調査技術です。
日本全国の下水道管の調査を実施しようとすると膨大な時間とコストがかかってしまいます。
それぞれの調査手法の特徴にあった調査方法を選定することで効率的に下水道管の調査を実施することができます。
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